昭和21年に井深大と盛田昭夫らによって創業された東京通信工業が、12年後ソニー株式会社と社名を変えました。
ラテン語のSONUS（音を意味する）とSONNY（小さな坊やの意味）とを合わせた造語で、どこの国でも同じように読めて発音できる簡単な名前として採用されました。
すでに世界への進出と事業の多角化を念頭においていたのですが、社内では「何の会社かわからない。せめてソニー電子工業か、ソニー通信工業がいい」と猛反対にあったようです。
社名改正から遡ること2年、単身トランジスタラジオを抱えてアメリカ全土に売り込みをかけていた盛田昭夫は、シカゴで巨大な白亜のビルを目にします。
そこに刻まれた「プルデンシャル」の文字を見上げながら、いつかは財閥企業のようにグループを支える金融機関を持ちたいと心に誓ったのでした。
今や主力のエレクトロニクスは業界で一人負け状態で、映画、音楽、ゲームと金融に支えられているのが現状です。
何の会社かわからなくなったことによって救われているとは皮肉なものです。
ＳＯＮＹがかつての輝きを取り戻してくれることを心の底から願うばかりです。