やなせたかし
2013/10/19
「正義とは、ミサイルをぶっ放して相手をやっつけることか。・・・飢える子供たちを助けるほうが先決なんじゃないかと・・」
「正義って相手を倒すことじゃないんですよ。アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ」(だからアンパンマンは自分の顔を相手に食べさせる)
やなせたかしさんの訃報を受け、やなせさん語録が新聞やネットにあふれています。
そのひとつひとつが胸に響き、温かい。
70歳近くになってアンパンマンが大ヒットし、遅咲きの絵本作家として世に出たやなせさん。
苦労知らずが書いた絵本ではなく、戦争で辛酸をなめた人だからこそ、人への愛情がこもっています。
行軍より辛かった飢えを経験して帰国すると、たったひとりの弟は人間魚雷「回天」で22歳の若さで戦死していました。
戦後、正義とされてきたものや価値観がひっくり返るなか、自分なりの哲学が出来上がっていったのでしょう。
東日本大震災後、膀胱がんや肺炎・腸閉塞を同時に起こして引退も考えたものの、復興に尽力された90代のやなせさん。
子供たちも大人たちもその哲学を忘れないでしょう。
そういえば、子供の頃によく口ずさんだ「僕らはみんな生きている。生きているから歌うんだ・・・手のひらを太陽に・・」は、やなせたかしさんの作詞です。
どうか安らかにお休みください。