HY戦争(協業)
2016/10/08
かつてヤマハ発動機のマリン部門で働いていた1980年代前半に、モーターサイクルで世界シェアトップのホンダと2位のヤマハが激しいシェア争いをし、勝ったのはホンダでした。
お陰で当時では珍しい給与カットの憂き目に遭い、苦い思いをかみ締めたものです。
ご存知のない方のほうが多いと思いますが、これを両社の頭文字をとってHY戦争と命名されたのです。
あの頃はイケイケどんどんの勢いで、毎日のように工場からモーターサイクルの拠点にバイクが運び込まれ、営業マンがそれを販売店に押し込んでいくという手法がまかり通っていた時代でした。
いつかはHY戦争についてこの欄で触れたいと考えていたのですが、思わぬところで日経新聞に先を越されてしまいました。
当時戦ったホンダとヤマハがこの度国内市場で50cc原付バイクで提携することになったのです。
あの頃町のそこかしこにあったバイクショップが激減してしまったことにお気付きでしょうか。
ピーク時には年間300万台を超えていた市場が今や40万台にまで縮小しているのです。
50cc原付バイクという日本独自規格の市場では、開発コストを回収することができず、両社ともこれ以上の資金を投入することはできないと判断したようです。
今回はHY協業とでも名づけられるのでしょうか。
将来の予測の見誤りと、冷静な判断力が必要なのはどの業界にも言えることですが、いま改めて我々一人ひとりが備えておかねばならないと痛感しております。